PHPの脆弱性への対応で、ホームページやLPのアップデート・修正に追われた方もいるのではないでしょうか。
対応を終えてサイトの公開を再開したのに、Google広告の配信が再開されない——そんな状況になっていませんか。
その原因としては、対応中にサイトを一時的に非公開にしたことで広告が不承認になったケースや、復旧後もアクセス制限が広告審査用クローラーを遮断しているケース、不正なコードが残っているケースなどが考えられます。
また、サイトの修正が完了していても、広告の配信再開には再審査請求が必要になる場合があります。
今回は、PHPの脆弱性への対応後にGoogle広告を再開するために、確認しておきたい3つのポイントと再審査請求の手順をまとめました。
PHPの脆弱性への対応後、なぜ広告が再開しないのか
PHPは、WordPressなどのウェブサイトで使われているプログラミング言語です。
脆弱性とは、不正アクセスなどに悪用されるおそれのあるセキュリティ上の弱点を指します。
■対応中の一時的な非公開が、不承認のきっかけになる場合もある
PHPの更新や安全確認のため、ホームページやLPを一時的に非公開にしたり、メンテナンス画面に切り替えたりすることがあります。
その間にGoogleの広告クローラーがアクセスし、本来のページを確認できなければ、「機能していないリンク先」として広告が不承認になる場合があります。
例えば、次のような流れです。
- PHPの脆弱性に対応するため、サイトを一時的に非公開にする
- 非公開の間に広告クローラーがアクセスし、エラーやメンテナンス画面を確認する
- 広告が「機能していないリンク先」として不承認になる
- 作業後にサイトを公開し直しても、広告側では不承認が解消されていない
この場合は、現在のサイトに問題が残っていると決めつけず、非公開にしていた時期と不承認の発生時期を確認することが手がかりになります。
リンク先が正常に戻ったことを確認したうえで、必要な再審査請求を進めます。
■復旧後のアクセス制限や改ざんも確認する
一方で、サイトの公開を再開しても、別の問題が残っている場合があります。
例えば、攻撃対策として設定した海外IP制限が広告クローラーを遮断しているケースです。
また、PHPを更新しても、すでに埋め込まれた不正なスクリプトが自動的に消えるとは限りません。
一時的な非公開による不承認なのか、復旧後も問題が続いているのかを確認することで、必要な対応を整理しやすくなります。
なお、この記事は特定のPHP脆弱性や被害の一斉発生を告知するものではありません。
対象バージョンや具体的な修正内容は、利用しているサーバーやシステムの案内に沿って確認してください。
■最初にGoogle広告の不承認理由を確認する
対応を始める前に、Google広告の管理画面で対象広告の「ステータス」と「ポリシーの詳細」を確認しましょう。
不承認理由によって、調べる場所が変わります。
- 機能していないリンク先:HTTPエラー、URLの誤り、サーバーの動作、リダイレクトを確認します。
- 不正使用されているサイト:改ざん、不正なスクリプト、問題のある外部ドメインへの参照を確認します。
- その他のポリシー違反:表示されたポリシーに沿って、必要な修正内容を確認します。
複数の理由が付いている場合は、それぞれへの対応が必要です。
なお、広告の不承認とアカウントの強制停止は異なります。
アカウントが強制停止されている場合は、その通知に記載された手順も確認してください。
▼確認① 広告のリンク先が正常に表示されているか
最初に、広告に設定しているLPやホームページが正常に動作しているか確認します。
トップページだけでなく、実際に広告で使用しているURLを確認することが大切です。
HTTPステータスコードを確認する
HTTPステータスコードは、アクセスに対してサーバーが返す結果です。
主なコードの意味は次のとおりです。
- 200 OK(リクエスト成功):本来のページ内容が表示されているか確認します。
- 403 Forbidden(アクセス拒否):WAFやIP制限などで遮断されていないか確認します。
- 404 Not Found(ページが見つからない):URLの誤りやページ削除がないか確認します。
- 500 Internal Server Error(サーバー内部のエラー):プログラムやサーバー設定に問題がないか確認します。
- 503 Service Unavailable(一時的にサービスを利用できない):メンテナンスや過負荷が続いていないか確認します。
Googleは、AdsBotにHTTPエラーを返すリンク先などを「機能していないリンク先」として扱います。
エラーが残った状態で再審査を請求する前に、まず原因を解消しましょう。
「200 OK」だけで復旧完了と判断しない
200を返していても、画面に「メンテナンス中」と表示されていたり、本来のコンテンツが表示されなかったりする場合があります。
ステータスコードと実際のページ内容の両方を確認してください。
Chromeでは開発者ツールの「Network」でページの通信結果を確認できます。
ただし、自分の環境での確認だけでは、海外IPやクローラーへの制限までは判断できません。
計測用パラメータやトラッキングテンプレートを使っている場合は、それらを含むURLや転送先も確認対象にしましょう。
▼確認② WAFや海外IP制限でAdsBotを遮断していないか
WAFは、ウェブサイトへの不審な通信を検知・遮断する仕組みです。
サイトを保護するための設定ですが、設定内容によってはGoogleのクローラーのアクセスにも影響します。
Google広告のリンク先確認には、AdsBot-Googleなどのクローラーが使われます。
日本国内の利用者向けの広告でも、日本の自分の端末で表示できることだけでは確認が十分とはいえません。
制作会社やサーバー管理会社には、次の点を確認してもらいましょう。
- 海外IPの制限がAdsBotのアクセスを遮断していないか
- WAFやボット対策機能のログに、Googleのクローラーへの拒否が記録されていないか
- 認証画面やアクセス確認画面が、クローラーの閲覧を妨げていないか
- robots.txtの設定が、広告クローラーのアクセスに影響していないか
許可する際は、本物のGoogleクローラーか確認する
「AdsBot-Google」という名前だけを条件に無条件で許可する設定は避けましょう。
クローラーが名乗るUser-Agentという識別文字列は、第三者も設定できます。
Googleは、公開IP範囲との照合や、DNSの逆引き・正引きを使った確認方法を案内しています。
AdsBotとGooglebotはクローラーの分類や公開IP範囲が異なるため、Googlebotだけを許可して完了と判断せず、AdsBotも確認します。
WAF全体を無効にする前に、管理会社と連携し、正規のクローラーが必要なページへアクセスできるよう設定を調整してください。
閲覧を許可する際も、クローラーには一般の利用者と同じページ内容を提供することが前提です。
▼確認③ 不正なコードや改ざんが残っていないか
「不正使用されているサイト」などの理由で不承認になっている場合、表示の復旧だけでは対応が完了しないことがあります。
Googleは、サイトのコードが第三者によって操作され、不正な転送やデータ送信などが行われる状態を問題として挙げています。
管理画面に問題のあるドメインが表示される場合は、そのドメインを参照しているコードを調査する手がかりになります。
例えば、次のような箇所を制作会社やセキュリティ担当者に調べてもらいます。
- 意図しないJavaScriptや外部サイトへの転送
- 不正に作成・変更されたファイルやデータ
- テーマやプラグインなどに残る改ざん
- 不正な管理者アカウントや再侵入につながる設定
PHPやCMSの更新と、埋め込まれた不正なコードの除去は、それぞれ確認が必要です。
侵入経路への対策も行い、再審査中に再び改ざんされる状態を残さないようにしましょう。
修正が完了したらGoogle広告から再審査を請求する
必要な修正と確認が終わったら、Google広告の管理画面から再審査を請求します。
サイトを修正した場合の基本的な流れは次のとおりです。
- Google広告の「広告」画面で対象広告を確認する
- 不承認のステータスから「再審査を請求」を選ぶ
- 修正済みの場合は「ポリシーに沿って変更を実施した」を選ぶ
- 再審査の対象を確認して送信する
- ポリシーマネージャーで結果や進行状況を確認する
画面表示や利用できる操作は、広告の種類やアカウントの状態によって異なる場合があります。
表示される案内と公式ヘルプに沿って進めてください。
再審査を請求しても、即時の広告再開が確約されるわけではない
申請後は、管理画面で結果を確認します。
再び不承認になった場合は、同じ申請を繰り返す前に、残っている理由と追加の確認事項を整理しましょう。
解決できない場合は、対象URL、不承認理由、実施した修正、アクセスログなどの情報をそろえてGoogle広告サポートへ相談すると、状況を伝えやすくなります。
制作会社・サーバー管理会社と共有したい確認項目
広告担当者だけでは判断が難しい場合は、次の確認項目を共有すると確認を進めやすくなります。
- 広告のリンク先:実際に使用しているURLで、本来のコンテンツが表示されているか。
- HTTPレスポンス:AdsBotに4xx・5xxエラーを返していないか。
- 転送・計測:パラメータ付きURLや転送先でも問題がないか。
- WAF・IP制限:正規のAdsBotを遮断していないか。
- セキュリティ:検出された不正なコードを除去し、侵入原因にも対処しているか。
- 再審査:修正後に申請し、管理画面で状況を確認しているか。
よくある質問
Q.PHPを最新版にすれば広告は再開しますか?
A.PHPの更新だけでは、不承認の原因をすべて解消できるとは限りません。
アクセス制限や改ざんなども確認し、管理画面に表示された理由に沿って対応してください。
Q.サイトが表示されるのに「機能していないリンク先」になるのはなぜですか?
A.自分のアクセスは通っていても、AdsBotのアクセスがWAFなどに遮断されている可能性があります。
端末やアクセス元による違い、転送先のエラーも確認対象です。
Q.Google広告の審査は、すべて全自動になったのですか?
A.Googleの公式説明では、ポリシー違反の検出にAIと人による評価を併用しています。
広告審査全体が完全自動になったと一律に理解するのは適切ではありません。
Q.Search Consoleで問題がなければ、Google広告も再開できますか?
A.Search Consoleの表示だけで、広告の承認を保証することはできません。
Google広告側の不承認理由とAdsBotのアクセス状況を確認し、必要な再審査を進めてください。
まとめ
今回は、先日発生したPHPの脆弱性への対応が完了してGoogle広告を再開したのに広告の配信が始まらなかった時の対応について、ご紹介しました。
PHPの脆弱性への対応が終わり、ホームページやLPを公開し直しても、Google広告の配信が再開されない場合があります。
対応中の一時的な非公開によって広告が不承認になっていたり、復旧後もアクセス制限などが影響していたりするためです。
まずはGoogle広告の管理画面で、不承認の理由を確認しましょう。
そのうえで、広告のリンク先が正常に表示されるか、WAFや海外IP制限が広告クローラーを遮断していないかを確認します。
不正使用を指摘されている場合は、不正なコードの除去や侵入原因への対処も必要です。
すでにサイトが正常に戻っている場合は、再審査請求が必要かを確認することが次のステップです。
一方、エラーやアクセス制限が残っている場合は、制作会社やサーバー管理会社と連携して解消してから申請を進めましょう。
サイトの復旧と広告の配信再開を一連の対応として捉え、申請後も管理画面で審査結果と配信状況を確認することが大切です。
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