2025/07/10
メインビジュアルMV分析とは?
Webサイトに訪れた際、あなたは何を一番最初に見ていますか?
おそらく、ページの大部分を占める大きな画像や動画、そしてキャッチコピーではないでしょうか。
これこそが、Webサイトの「顔」とも言えるメインビジュアル(MV)です。
Webサイトにおいて、メインビジュアルは単なる装飾ではありません。
ユーザーがサイトにアクセスしたわずか3秒以内に、そのサイトに留まるか離脱するかを判断すると言われています。
この「3秒ルール」の通り、メインビジュアルはユーザーの第一印象を決定づけ、その後の行動に大きく影響を与える極めて重要な要素なのです。
人は視覚から得る情報に強く影響されると言われており、これは「メラビアンの法則」にも通じる考え方です。
メラビアンの法則とは、人がコミュニケーションを取る際、言語情報(話す内容)よりも視覚情報(見た目)や聴覚情報(話し方)から得る影響が大きいというものです。
Webサイトにおいても、まさにこの視覚情報であるメインビジュアルが、サイト全体の印象を大きく左右すると言えるでしょう。
もしメインビジュアルが魅力的でなかったり、サイトの価値を瞬時に伝えられなかったりすれば、せっかくサイトに誘導しても、ユーザーはわずか数秒で「ここは自分が見たいサイトではない」と判断し、すぐに離れてしまうかもしれません。
そこで重要になるのが、メインビジュアルMV分析です。
これは、現在のメインビジュアルがどれだけ効果を発揮しているのかを客観的に評価し、改善点を見つけることで、Webサイト全体の成果を最大化することを目的とします。
直帰率の改善、サイト滞在時間の延長、そして最終的なコンバージョン率(問い合わせ、購入、会員登録など)の向上に直結する、Web担当者やマーケターにとって必須のスキルと言えるでしょう。
今回は、メインビジュアルMV分析の重要性やMV分析を行うにあたってのポイントについて、ご紹介します。
良いメインビジュアルとは?基礎知識と役割
メインビジュアルMV分析に入る前に、そもそも「良いメインビジュアル」とは何か、その基礎知識と役割を理解しておきましょう。
■メインビジュアルの定義と役割
メインビジュアルとは、Webサイトのファーストビュー(スクロールせずに最初に見える範囲)内で、最もユーザーの目を引き、サイト全体の印象を決定づける核となるビジュアル要素です。
画像、動画、イラスト、そしてそれらと組み合わされるキャッチコピーや見出しなど、複数の要素で構成されることが一般的です。
メインビジュアルには、大きく分けて以下の4つの重要な役割があります。
・瞬時に「何ができるサイトか」を伝える
訪問者がサイトの目的や提供している価値をひと目で理解できるよう、分かりやすく提示する役割です。
「このサイトは自分の求めているものがあるか?」というユーザーの疑問に、即座に答える必要があります。
・企業、ブランドイメージを印象づける
サイトの世界観やコンセプトを表現し、訪問者にポジティブなブランドイメージを植え付けます。
信頼性、専門性、親しみやすさなど、伝えたいメッセージをビジュアルで表現します。
・ターゲットユーザーの共感を呼ぶ
ターゲット層が抱える課題やニーズに寄り添い、彼らの心に響くようなメッセージやビジュアルを提供します。
共感を生むことで、ユーザーはサイトを深く探索しようという気持ちになります。
・行動を促す(Call To Action)
サイトに訪問したユーザーに、次にとってほしい行動(例:資料請求、商品購入、問い合わせなど)を促すための導線となる役割も担います。
多くの場合、メインビジュアルの近くにCTAボタンが配置されます。
■メインビジュアルの種類と特徴
メインビジュアルには様々な種類があり、それぞれ異なる特徴を持っています。
サイトの目的やターゲットに合わせて使い分けることが重要です。
写真
・ヒーローイメージ
画面全体に広がるような大きな写真で、没入感を演出します。
・人物写真
ターゲット層に共感を呼ぶような人物を使用することで、親近感や信頼性を高めます。
・商品写真
魅力的な商品そのものを見せることで、購買意欲を刺激します。
イラスト/グラフィック
・独自のイラストは、親しみやすさや個性を演出し、ブランドの世界観を強く表現できます。
動画
動きがあるため視覚的な訴求力が高く、短時間で多くの情報を伝えることができます。
特にサービス紹介やブランドムービーなどに適しています。
テキスト中心
キャッチコピーのメッセージ性が非常に強い場合や、シンプルさを追求するサイトで用いられます。
視認性の高いフォントと適切な余白が重要です。
スライドショー/カルーセル
複数のメインビジュアルを順番に表示する形式です。
多くの情報を一度に提示できる反面、ユーザーがすべてのスライドを見ない可能性や、表示速度が遅くなるリスクもあるため、慎重な検討が必要です。
メインビジュアルMV分析の具体的なステップ
では、実際にメインビジュアルMV分析はどのように進めれば良いのでしょうか。ここでは、効果的な分析を行うための具体的な手順を解説します。
ステップ1: ゴールとKPIの明確化
分析を始める前に、まず「何のために分析を行うのか」というゴールと、それを測るためのKPI(重要業績評価指標)を明確に設定することが不可欠です。
■分析ゴールの例
・Webサイトの直帰率を20%改善する。
・特定の商品ページのコンバージョン率を5%向上させる。
・問い合わせ数を月間〇件増加させる。
■KPIの例
・直帰率
・平均セッション時間
・コンバージョン率(CVR)
・ヒートマップにおける特定要素のクリック率
・フォーム入力完了率
これらのゴールとKPIを設定することで、分析の方向性が定まり、後の施策の効果測定も容易になります。
ステップ2: 現状のメインビジュアルを多角的に評価する
次に、現在のメインビジュアルが設定したゴールに対してどれだけ貢献しているかを、定性的と定量的の両面から評価します。
A. 定性的な評価(主観的な視点)
まず、人間が目で見て感じる印象や使いやすさについて評価します。
チーム内で意見を出し合ったり、第三者の視点を取り入れたりするのも有効です。
ここでは、以下の観点からメインビジュアルを評価してみましょう。
・第一印象
「このサイトは何のサイトか?」「誰のためのサイトか?」を、見た瞬間に理解できますか?
・ターゲットとの親和性
ターゲットユーザーが共感できるデザイン、メッセージになっていますか?彼らが求めている情報や解決策が視覚的に表現されていますか?
・メッセージの明確さ
伝えたいメッセージがシンプルかつ分かりやすく、誤解なく伝わっていますか?キャッチコピーとビジュアルの整合性は取れていますか?
・デザイン性
全体的な美しさ、色彩の調和、文字の視認性、要素間のバランス、統一感は保たれていますか?
・競合サイトとの比較
競合他社のメインビジュアルと比較して、差別化できていますか?自社の強みが際立っていますか?
B. 定量的な評価(客観的なデータ)
次に、数値データに基づいて客観的に評価を行います。
ここでは、Google Analyticsやヒートマップツールといった分析ツールを活用し、ユーザー行動の具体的な数値からメインビジュアルの効果を下記の項目を検証し、評価するようにした方がいいでしょう。
▼Google Analytics
・直帰率
メインビジュアルを見てすぐにサイトを離れてしまうユーザーの割合を示します。
これが高い場合は、メインビジュアルがユーザーの期待に応えられていない可能性があります。
・平均セッション時間
ユーザーがサイトにどれくらいの時間滞在しているかを示します。
メインビジュアルが魅力的であれば、滞在時間が長くなる傾向があります。
・コンバージョン率 (CVR)
設定したコンバージョン(購入、問い合わせなど)に至ったユーザーの割合です。
メインビジュアルがCVRに与える影響は非常に大きいです。
・流入経路ごとのパフォーマンス
どのチャネル(広告、SNS、検索など)からの流入で、メインビジュアルの効果が最も高いか、低いかを確認します。
・デバイスごとの表示パフォーマンス
PC、スマートフォン、タブレットなど、異なるデバイスでメインビジュアルが適切に表示され、問題なく機能しているかを確認します。
特にスマートフォンの表示速度は重要です。
▼ヒートマップツール
・クリックマップ
メインビジュアルのどの部分がクリックされているかを示します。
想定外の場所がクリックされていたり、クリックしてほしいCTAがクリックされていなかったりする場合、改善のヒントになります。
・スクロールヒートマップ
ユーザーがページのどこまでスクロールして見ているかを示します。
メインビジュアルで多くのユーザーが離脱している場合、魅力を感じてもらえていない可能性があります。
・アテンションヒートマップ
ユーザーがページのどこに最も視線を集中させているかを示します。
重要な情報やCTAに視線が集まっているかを確認できます。
▼A/Bテスト
現状のメインビジュアルと、改善案となる新しいメインビジュアルを同時に表示し、どちらがより高い成果を上げたかを比較検証します。
これにより、客観的に効果を測定し、最適なメインビジュアルを見つけることができます。
分析結果から見つける改善点と施策例
多角的な分析の結果、メインビジュアルの改善点が見えてきたら、具体的な施策を立案します。
改善点の特定と仮説設定
データに基づいて、「なぜ」そのような結果が出ているのかを深掘りし、仮説を立てます。
・例1
直帰率が高い場合 → 「メインビジュアルのメッセージが曖昧で、サイトの提供価値が瞬時に伝わっていないからでは?」
・例2
特定のCTAボタンのクリック率が低い場合 → 「CTAのデザインが目立たない、または文言がユーザーの行動を促すものではないからでは?」
・例3
スマートフォンからのCVRが低い場合 → 「スマホ表示時に画像が重く、表示速度が遅い、あるいはレイアウトが崩れて見づらいからでは?」
具体的な改善施策の例
立てた仮説に基づき、具体的な改善施策を実行します。
■キャッチコピーの改善
・ターゲットの課題解決に焦点を当てたベネフィット訴求型のコピーに変更する。
・具体的な数字や期限を入れて緊急性・限定性を高める。
・ターゲットの心に響く言葉遣いに修正する。
■画像・動画の変更
・より高品質でプロフェッショナルな素材に変更する。
・ターゲット層が共感しやすい人物やシチュエーションの写真・動画を使用する。
・製品やサービスの具体的な利用シーンが想像できるビジュアルに差し替える。
・動画の場合は、短時間でメッセージが伝わるように編集し、自動再生やミュートの設定も検討する。
■CTA(行動喚起)の最適化
・ボタンの色を背景と差別化し、視認性を高める。
・「資料を請求する」「今すぐ購入する」など、具体的な行動を促す文言に変更する。
・メインビジュアル内の適切な位置に配置し、見つけやすくする。
・マイクロコピー(ボタンの近くにある補足テキスト)で安心感を与える。
■レイアウトの調整
・重要な情報(キャッチコピー、CTA)がファーストビュー内で確実に見えるように配置する。
・視線誘導を意識し、ユーザーの目が自然に流れるような構成にする(F字型、Z字型など)。
・適切な余白を取り、ごちゃごちゃした印象を与えないようにする。
■表示速度の改善
・画像のファイルサイズを最適化(圧縮、WebP形式への変換など)。
・動画を軽量化し、CDN(コンテンツデリバリーネットワーク)を活用する。
・サイト全体の表示速度を改善する施策も併せて検討する。
■レスポンシブデザインの最適化
・PC、スマートフォン、タブレットなど、各デバイスでメインビジュアルが最適に表示されるか、レイアウトが崩れていないかを入念に確認する。
・デバイスごとに異なるメインビジュアルを用意することも検討する。
■視線誘導の工夫
・矢印やアイコン、人物の視線などを使って、ユーザーの視線をCTAや重要な情報に誘導する。
ABテストの重要性
改善施策は、「これで完璧」と考えるのではなく、必ずA/Bテストで効果を検証してください。
A/Bテストによって、どの施策が実際に成果に結びついたのかを客観的に判断でき、次の改善へと繋がる貴重なデータを得ることができます。
メインビジュアルMV分析の成功事例
具体的な事例を見ることで、MV分析がどのように成果に結びつくかをより深く理解できます。
事例1: 直帰率を大幅に改善したECサイト
あるアパレルECサイトでは、メインビジュアルがモデルの顔のアップ写真のみで、取り扱い商品のジャンルやブランドの世界観が伝わりにくいという課題がありました。
Google Analyticsの直帰率は約70%と高く、多くのユーザーがすぐに離脱していました。
■分析と施策
ヒートマップ分析の結果、モデルの顔には視線が集まるものの、サイト内を探索するようなクリック行動がほとんど見られないことが判明。
そこで、「どのような服を取り扱っているのか」を瞬時に伝えるため、様々なテイストの服を着た複数のモデルが並び、ブランドコンセプトを示すキャッチコピーを大きく配置したメインビジュアルにA/Bテストで変更しました。
結果
新しいメインビジュアル導入後、直帰率は約50%まで改善し、平均セッション時間も約20%増加しました。
ユーザーがサイトの提供価値を理解し、次の行動へ進むきっかけを作れた成功事例と言えます。
事例2: コンバージョン率を向上させたBtoBサービスサイト
BtoBのSaaSサービスを提供している企業で、サービス資料請求のコンバージョン率が伸び悩んでいました。メインビジュアルはシステムのスクリーンショットと一般的なキャッチコピーでした。
■分析と施策
ユーザーアンケートやGoogle Analyticsのデータから、「具体的な導入メリットが分かりにくい」「他社サービスとの差別化ポイントが見えない」という課題が浮上。
MV分析では、特にPCでのファーストビューで「資料請求」のCTAボタンが目立たないことも判明しました。
そこで、メインビジュアルを「導入企業が実際に得られる成果(例:業務効率〇%改善)」を具体的に示した動画に変更。さらに、資料請求ボタンの色を鮮やかにし、位置も調整しました。
結果
メインビジュアル変更後、資料請求のコンバージョン率は約1.5倍に増加しました。
動画によってサービスの価値が視覚的に伝わりやすくなったこと、そしてCTAの視認性向上も大きく貢献しました。
メインビジュアルMV分析に関するよくある質問
Q1: メインビジュアルの最適なファイルサイズはどれくらいですか?
A1: Webサイトの表示速度に大きく影響するため、できる限り軽量化することが重要です。一般的には、高画質を保ちつつ、画像は100KB〜300KB程度、動画は数MB以内に抑えるのが理想的です。WebP形式やAVIF形式といった次世代フォーマットの利用や、動画の圧縮・最適化ツールを活用しましょう。
Q2: A/Bテストはどれくらいの期間実施すべきですか?
A2: テスト期間は、サイトのトラフィック量や目標とするコンバージョン数によって異なります。最低でも1週間〜2週間、できれば2〜4週間程度の期間で、十分なデータ量(統計的な有意差が確認できるコンバージョン数)が収集できるまで実施することをおすすめします。季節要因なども考慮に入れると良いでしょう。
Q3: ヒートマップツールは無料のものでも十分分析できますか?
A3: 小規模なサイトや基本的な分析であれば、無料のヒートマップツールでも十分な情報を得られる場合があります。しかし、より詳細なセグメント分析や、長期間のデータ保存、高度な機能が必要な場合は、有料ツールの導入を検討すると良いでしょう。まずは無料ツールで試してみて、必要に応じてアップグレードを検討するのも一つの手です。
Q4: メインビジュアルの変更頻度はどれくらいがいいですか?
A4: 一概には言えませんが、サイトの目的や商材、ターゲットによって異なります。季節限定キャンペーンや新商品のプロモーションなど、期間限定の情報がある場合はそれに合わせて変更が必要です。特に大きな変化がない場合でも、定期的に(例えば3ヶ月〜半年に一度)パフォーマンスを評価し、必要であればリフレッシュを検討することで、ユーザーに新鮮な印象を与え続けることができます。
Q5: メインビジュアルに動画を使う際の注意点はありますか?
A5: はい、いくつか注意点があります。
・表示速度
動画ファイルは容量が大きくなりがちなので、圧縮・最適化を徹底し、高速な配信環境(CDNなど)を整えましょう。
・自動再生と音
多くのユーザーは音なしで視聴することを想定し、メッセージが視覚的に伝わるように制作しましょう。また、突然音が鳴るとユーザー体験を損ねるため、基本的に自動再生時はミュート設定にすることをおすすめします。
・メッセージ性
短時間でサイトの価値やメッセージが伝わるよう、簡潔にまとめましょう。長すぎる動画は逆効果です。
・代替画像
動画が読み込めない環境や、ユーザー設定で動画が再生されない場合に備え、魅力的な代替画像(ファーストフレームなど)を設定しておきましょう。
Q6: Webサイト公開後、いつからMV分析を始めるべきですか?
A6: Webサイト公開直後から、Google Analyticsなどのアクセス解析ツールとヒートマップツールの導入をおすすめします。
但し、データが十分に蓄積されるまでには時間がかかりますので、最低でも1週間〜1ヶ月程度のデータが集まってから本格的な分析に着手するのが良いでしょう。
初期の段階で早めに傾向を把握することで、大きな問題点を迅速に特定し、改善に繋げられます。
まとめ
今回は、メインビジュアルMV分析について、ご紹介しました。
メインビジュアルMV分析は、Webサイトの成果を最大化するために欠かせないプロセスです。
一度分析して改善すれば終わり、というものではありません。
Webサイトを取り巻く環境やユーザーのニーズは常に変化しており、競合サイトの動向も常にチェックする必要があります。
大切なのは、PDCAサイクル(Plan-Do-Check-Action)を継続的に回し、データに基づいた改善を繰り返していくことです。
・Plan(計画): ゴールとKPIを設定し、分析計画を立てる。
・Do(実行): メインビジュアルを改善・変更する。
・Check(評価): Google Analyticsやヒートマップ、A/Bテストで効果を測定・分析する。
・Action(改善): 分析結果に基づいて、次の施策を立案・実行する。
このサイクルを回し続けることで、あなたのWebサイトは常に最適な状態を保ち、目標達成へと確実に近づくでしょう。
今日からあなたのサイトのメインビジュアルを見直し、MV分析を実践してみてはいかがでしょうか。
弊社BOPコミュニケーションズでは、Web広告の配信・運用を承っております。
・売上を伸ばすためにWeb広告を活用してみたい。
・自社で広告配信をしているが、手探り状態なので効率を上げたい。
・広告の運用をプロに任せて、よりビジネスを大きくしていきたい。
そんな場合は、お気軽にご相談ください!
★フォームからすぐにお問い合わせしたい場合はこちら↓