2025/06/29
近年、インターネットやSNSの普及により、私たちの情報収集のあり方は大きく変化しました。
企業が発信する情報だけでなく、一般の消費者が自ら生み出し、発信する情報が、商品の購入やサービスの利用を検討する上で重要な判断材料となっています。
この、一般のユーザーによって作成・発信されるコンテンツこそが、今回ご紹介するUGC(User Generated Content:ユーザー生成コンテンツ)となります。
UGCとは? その意味と具体例
UGCは「User Generated Content」の頭文字をとった言葉で、直訳すると「ユーザーによって生成されたコンテンツ」となります。
企業やメディアではなく、製品やサービスを実際に利用した「一般の消費者(ユーザー)」が自主的に作成・発信した情報全般を指します。
具体的には、以下のようなものがUGCに該当します。
■SNSの投稿
・Instagramに投稿されたカフェの料理写真やファッションアイテムの着こなし。
・X(旧Twitter)での商品の感想やイベントの体験談。
・TikTokで流行しているダンス動画や商品紹介動画。
■口コミサイトのレビュー
・食べログやRettyでの飲食店の評価や感想。
・Amazonや楽天市場の商品レビュー。
・@cosme(アットコスメ)での化粧品の使用感レビュー。
■個人ブログやVlog
・旅行先の体験記やおすすめスポットの紹介。
・特定の商品を深掘りしたレビュー記事。
・日常の出来事を動画で記録したVlog。
■Q&Aサイトの回答
・Yahoo!知恵袋などのQ&Aサイトで、ユーザーが質問に答える形で共有される知識や経験。
■オンラインフォーラムやコミュニティでの発言
・特定の趣味や製品に関する情報交換。
このように、私たちの日常生活のあらゆる場面でUGCは存在し、日々増え続けています。
なぜUGCが重要なのか? その影響力
なぜ、これほどまでにUGCが注目され、企業がその活用を重視しているのでしょうか。
そこには、UGCが持つ独特の影響力と信頼性があります。
■圧倒的な信頼性
企業が発信する広告や公式情報は、企業側のメッセージとして受け取られる傾向があります。
消費者は広告に対して「売るための情報」という意識を持つことがあり、いわゆる「広告疲れ」を感じることも少なくありません。
一方、UGCは実際に商品やサービスを体験した「第三者の生の声」であり、金銭的な対価を目的としない、友人や知人の口コミに近い感覚で受け止められます。
この「広告ではない」という点が、消費者からの高い信頼に繋がる根拠となっています。
■購買行動への強い影響力
デジタル化された現代において、消費者は常に大量の情報に触れています。
この情報過多の時代において、信頼できる情報源を見つけることがより重要になっています。
多くの人が購入前やサービス利用前に、SNSやレビューサイトでUGCを能動的に検索し、参考にしています。
これは、SNSが日常の情報源となり、個人の発信が大きな影響力を持つプラットフォームとなっていること、そして、消費者が企業情報だけでは得られないリアルな情報や共感を求めていることの表れと言えるでしょう。
このようにUGCは消費者の購買意欲を喚起し、最終的な購入決定に大きな影響を与えています。
■多様な視点と共感
企業が発信する情報は、ターゲット層全体に向けた画一的なメッセージになりがちです。
しかし、UGCは多種多様なユーザーによって作成されるため、様々な使用シーン、年齢層、価値観に基づく率直な意見が表現されます。
これにより、消費者は自分と似た状況のユーザーの意見や、企業が伝えきれないリアルな使用感、メリット・デメリットといった「知りたい」情報を見つけやすくなります。
これにより、より深い共感や納得感が生まれ、購入への後押しとなります。
■制作コストの削減と効率的な拡散
UGCはユーザーが自発的に生み出す為、企業がコンテンツを制作する費用や手間がかかりません。
更に、ユーザー自身がSNSなどでUGCを共有することで、そのユーザーのフォロワーや友人へと自然な形で情報が拡散されていきます。
これは、企業が広告費を投下して情報を広めるよりも、コスト効率が良く、かつ信頼性の高い形でリーチを拡大できるという大きなメリットがあります。
■顧客インサイトの獲得
ユーザーが投稿するUGCは、商品やサービスに対する率直な評価、改善点、要望などの宝庫です。
企業はこれらのUGCを分析することで、顧客が何を求めているのか、何に不満を感じているのかといった「顧客の真のニーズ(インサイト)」を深く理解することができます。
これは、製品改善、新サービス開発、マーケティング戦略の策定において、非常に価値のある情報源となります。
UGC活用における重要な注意点:思わぬ落とし穴を避けるために
UGCは強力なマーケティングツールである一方、その活用には慎重な配慮が不可欠です。
一歩間違えれば、企業の信頼を損ねたり、法的な問題に発展したりするリスクも潜んでいます。
UGCを効果的かつ安全に活用するために、以下の重要な注意点を常に意識しておく必要があります。
■情報の正確性への懸念
UGCは個人の体験や主観に基づいており、必ずしも情報が正確であるとは限りません。
誤った情報や誇張された内容が拡散されると、消費者の誤解を招くだけでなく、企業のブランドイメージを毀損する可能性も十分にあります。
特に専門的な内容や健康に関わる情報の場合、不正確なUGCが健康被害などに繋がるリスクも考慮しなければなりません。
■ネガティブな意見と風評リスク
UGCは良い意見ばかりではありません。
不満や批判、ネガティブな体験談も当然投稿されます。
これらのネガティブなUGCは、ポジティブなUGCよりも拡散スピードが速く、企業の風評被害に直結する恐れがあります。
企業はネガティブな意見を真摯に受け止め、適切な対応(例:迅速な謝罪、問題解決への取り組み、公式見解の提示など)を怠らないことが極めて重要です。
■著作権・肖像権・プライバシー侵害のリスク
ユーザーが投稿するコンテンツには、他者の写真、動画、文章などが意図せず含まれることがあります。
これらのUGCを企業が二次利用する際には、元のコンテンツの著作権や、写り込んでいる人物の肖像権、プライバシー権の侵害に当たる可能性を考慮しなければなりません。
無許諾での利用は法的なトラブルに発展するリスクがある為、利用規約の整備や個別の利用許諾の取得など、細心の注意が必要です。
■薬機法・景品表示法など関連法規の遵守
特に医薬品、医療機器、化粧品、健康食品など、特定の法律(薬機法や景品表示法など)によって広告表現が厳しく規制されている分野では、UGCの内容がこれらの法律に抵触しないか細心の注意が必要です。
ユーザーが「効果がある」といった誤解を招く表現をしていても、それを企業が放置したり、意図的に活用したりすることは、法的な罰則の対象となる可能性があります。
企業の責任として、UGCのモニタリングと、不適切な表現への適切な対応が求められます。
UGCの活用は、現代マーケティングの強力な武器ですが、上記の注意点を軽視することはできません。
これらの潜在的なリスクを理解し、適切な対策を講じることで、UGCの持つ無限の可能性を最大限に引き出し、企業の成長に繋げることができるでしょう。
UGCに関するよくある質問
ここでは、UGCについてよくある疑問にお答えします。
Q1: UGCと企業が作る広告コンテンツはどう違うのですか?
A1: UGC(ユーザー生成コンテンツ)は、一般の消費者(ユーザー)が自らの意思で作成・発信するコンテンツです。一方、企業が作る広告コンテンツは、企業がマーケティングやブランディングの目的で企画・制作し、費用をかけて発信するものです。UGCは第三者目線の「生の声」として信頼されやすい点が最大の違いです。
Q2: UGCはどのようにして増やすことができますか?
A2: UGCを増やすためには、ユーザーが「発信したい」と感じるような環境やインセンティブを提供することが重要です。具体的には、下記のような対応が必要でしょう。
・SNSでのハッシュタグキャンペーンの実施
・魅力的な商品の開発やサービス体験の提供
・レビュー投稿を促す仕組み(例:レビュー投稿でクーポン付与)
・UGCを公式サイトやSNSで紹介する(ユーザーへの承認と感謝を示す)
・参加型のイベントや企画の実施 などが挙げられます。
Q3: UGCを活用したいのですが、どのようなツールがありますか?
A3: UGCの収集、管理、活用を支援するツールが多数存在します。代表的なものとしては、
・SNSモニタリングツール: 特定のキーワードやハッシュタグを含む投稿を収集・分析します。
・UGC収集・活用プラットフォーム: ユーザーからの写真や動画の提供を受け付け、権利処理をサポートし、ウェブサイトや広告での表示を効率化します。
・レビュー管理システム: 顧客からのレビュー収集、表示、分析を行います。 これらのツールを活用することで、効率的にUGCを取り扱えます。
Q4: ユーザーの投稿を無断で使っても良いのでしょうか?
A4: いいえ、原則として無断での利用は避けるべきです。ユーザーが作成したコンテンツには著作権がありますし、人物が写っている場合は肖像権の問題も生じます。企業がUGCを二次利用する際は、
・事前に利用規約に明記し、ユーザーの同意を得る
・個別に利用許諾を得る
・使用条件を明確にした上で、ユーザーに投稿を促す といった対応が必要です。トラブルを避けるためにも、必ず利用許諾を得るようにしましょう。
Q5: UGCがネガティブな内容だった場合、どう対応すれば良いですか?
A5: ネガティブなUGCに対しては、迅速かつ誠実な対応が求められます。無視したり、安易に削除したりすることは、かえって事態を悪化させる可能性があります。
・まずは内容を正確に把握し、事実確認を行う。
・公式アカウントから、共感を示すコメントや謝罪、問題解決に向けた具体的なアクション(例:個別連絡の提案、担当部署への情報共有など)を表明する。
・必要であれば、公式なQ&AやFAQで誤解を解消する情報を提供する。 誠実な対応は、企業の信頼性を高める機会にもなり得ます。
まとめ
今回は、UGCについて、ご紹介しました。
UGCは、現代のデジタルマーケティングにおいて不可欠な要素となっています。
消費者にとって信頼性の高い「生の声」であり、購買行動に大きな影響を与える存在です。
企業はUGCの重要性を理解し、その生成を促し、適切に活用することで、顧客とのエンゲージメントを深め、ブランド価値を高めることができるでしょう。
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