広告の効果を可視化する推定広告想起リフトとは?

2025/08/25

デジタル広告の運用に携わっている方なら、「クリック数」や「コンバージョン数」といった指標には馴染みがあるでしょう。

しかし、ブランドの認知度を高めることを目的とした広告の場合、これらの数値だけでは真の効果を測ることはできません。

「あのCM、印象的だったな」「そういえば、あの商品ってSNSでよく見るな」――こうした消費者の「記憶」にどれだけ残ったかという、見えない効果を可視化する指標が「推定広告想起リフト」です。

今回は、推定広告想起リフトがどのような指標なのか、なぜ重要なのか、そしてどのように活用するのかなどについて、ご紹介します。

 

推定広告想起リフトって何?

推定広告想起リフト(Estimated Ad Recall Lift)とは、「広告に接触したことによって、その広告を思い出したと推定される人の数」を指す指標です。

これを理解する為に、まずは「広告想起(Ad Recall)」という概念から見ていきましょう。

広告想起とは、広告を見た人が、その広告の内容やブランドをどれだけ記憶しているかを示す指標です。

この広告想起を、機械学習やアンケート調査を通じて推定したものが「推定広告想起リフト」です。

特にMeta(Facebook、Instagram)広告で使われる独自の指標であり、最終的な購入や問い合わせには繋がっていなくても、ブランドの認知度向上に貢献した度合いを数値で示してくれます。

 

なぜ推定広告想起リフトが重要なのか?

従来の広告指標(クリック数、インプレッション数など)だけでは、以下のような課題がありました。

・ブランディング効果の測定が難しい
クリックや購入を目的としないブランディング広告の場合、「クリック率が低いから効果がない」と判断されがちでした。

しかし、ユーザーは広告を見てすぐに購入しなくても、後日、別の場所で商品を見かけた際に「あ、これ知ってる!」と想起し、購入に至るケースも少なくありません。

この「記憶の定着」こそが、ブランディング広告の真の効果です。

・広告の質を正しく評価できない
インプレッション数が多くても、ユーザーの記憶に残らなければ意味がありません。

推定広告想起リフトは、単に「見られた数」ではなく、「記憶に残った数」を測定するため、クリエイティブの良し悪しを判断する上で非常に有効です。

 

どのような仕組みで算出されるの?

Meta広告の推定広告想起リフトは、以下の2つの要素を組み合わせて推定されます。

・アンケート調査
Metaは、広告を見たであろうユーザーグループ(テストグループ)と、見ていないであろうユーザーグループ(コントロールグループ)に、ランダムにアンケートを配信します。

質問内容は「過去2日間にこの広告を見た覚えはありますか?」といったシンプルなものです。

・機械学習アルゴリズム
上記のアンケート結果と、ユーザーの行動データ(「いいね!」やシェア、広告の視聴時間など)を組み合わせることで、広告想起に影響を与える要素を機械的に分析します。

このアルゴリズムにより、より多くのユーザーに対して、アンケートを実施することなく「推定広告想起リフト」を算出することが可能になります。

 

Googleや他のプラットフォームでも同様の機能がある?

「推定広告想起リフト」や「ブランドリフト調査」の概念は、Meta広告だけの特別なものではありません。

Googleをはじめ、多くの大手広告プラットフォームや、専門の調査会社が同様の機能やサービスを提供しています。

・Google広告のブランドリフト調査
Google広告(特にYouTube広告)では、広告に接触したグループと接触していないグループにアンケートを実施することで、広告想起、ブランド認知、購入意向などの変化を測定できます。

・TikTokやX(旧Twitter)広告
TikTokやXでも、広告キャンペーンの効果を測定するためにブランドリフト調査が提供されており、広告想起やブランド認知度の変化を測定できます。

・専門の調査会社
ニールセンなどの大手調査会社は、オンライン・オフラインを問わず、様々な広告媒体を横断してブランドリフトを測定するサービスを提供しており、より包括的な広告効果の評価が可能です。

 

このように、推定広告想起リフトは、単なるクリックやコンバージョンではないブランドの価値を測るための重要な指標として、デジタル広告業界全体で広く認識・活用されています。

プラットフォームごとに名称や測定方法は異なりますが、その根底にある考え方は同じです。

 

推定広告想起リフトを利用する際の注意点

推定広告想起リフトは、非常に有用な指標ですが、すべてのキャンペーンで利用できるわけではありません。

この機能を活用するには、以下の最低基準を満たす必要があることを覚えておきましょう。

・一定規模の予算が必要
統計的に意味のあるデータを取得する為には、テストグループとコントロールグループを十分に確保する必要があります。

その為、一般的に数十万円から数百万円といった規模の最低予算が設定されていることが多いです。

これらの基準は、媒体や地域、キャンペーンの目的によって大きく異なります。

最新の正確な要件については、利用を検討している各広告プラットフォームの公式情報や、担当営業に確認することが重要です。

・十分なリーチ(オーディエンス規模)が必要
アンケートの回答数を確保し、精度の高い結果を得るために、広告のターゲットオーディエンスは一定以上の規模(数十万人以上など)が求められます。

これらの機能は、最終的なコンバージョンだけでなく、ブランドの認知度向上を重視する、比較的規模の大きなブランディングキャンペーン向けに設計されています。

 

推定広告想起リフトの活用方法

この指標は、単に数値を眺めるだけでなく、広告運用の改善に役立てることができます。

① クリエイティブのA/Bテスト
複数のクリエイティブを配信し、最も推定広告想起リフトが高かったものを「記憶に残りやすい広告」として特定できます。

動画の長さやキャッチコピー、出演者などを変更して、最も効果的なパターンを見つけましょう。

② ターゲット設定の改善
異なるターゲット層(年齢、性別、興味関心など)に広告を配信し、どの層が最も広告を想起してくれたかを分析できます。

これにより、ブランド認知度を高める上で最適なオーディエンスを見つけることができます。

③ 費用対効果の評価
「推定広告想起リフト単価」を算出することで、広告想起1人あたりにかかった費用を把握できます。

推定広告想起リフト単価 = 消化金額 ÷ 推定広告想起リフト(人)

 

よくある質問(FAQ)

Q1. 推定広告想起リフトの数値は、何%以上だと「良い」と言えますか?
A1. 一概に何%以上が良いという基準はありません。

業界や競合の状況、キャンペーンの目的によって異なります。

重要なのは、複数の広告クリエイティブやターゲット層を比較し、相対的にどの組み合わせが最も高いリフトを獲得できたかを見ることです。

Q2. 広告想起リフトを上げるにはどうすればいいですか?
A2. 以下の点が重要です。

  • クリエイティブの改善: 印象に残りやすい動画や、簡潔で分かりやすいメッセージを心がけましょう。
  • フリークエンシー(広告接触回数)の調整: ユーザーに適切に広告が届くよう、頻度を調整することも効果的です。

Q3. 推定広告想起リフトとブランドリフト調査は同じものですか?
A3. 概念としては非常に似ていますが、Meta広告の「推定広告想起リフト」は機械学習によって数値を「推定」する点が特徴的です。

一方、Google広告などの「ブランドリフト調査」は、アンケート回答をもとに数値を「測定」します。どちらもブランド認知の効果を測るための指標です。

 

まとめ

今回は、推定広告想起リフトについて、ご紹介しました。

推定広告想起リフトは、クリックやコンバージョンに直接結びつかない「見えない」広告効果を可視化する、現代のデジタル広告運用において不可欠な指標です。

特に、ブランディングや新商品・新サービスの認知拡大を目的としたキャンペーンでは、この数値を追うことで、広告の真の価値を評価し、より効果的な戦略を立てることが可能になります。

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