2025/07/03
2025年6月27日、X(旧Twitter)はハッシュタグを含む広告の配信を順次停止するという方針を発表しました。
この変更に伴い、すでに配信されているハッシュタグ付きの広告も、順次配信が停止される対象となります。
広告主は、現在進行中のキャンペーンを確認し、ハッシュタグを含まない新しいクリエイティブへの差し替えや、広告設定の見直しが求められます。
この仕様変更は、プラットフォーム上でのプロモーション活動において、長年活用されてきたハッシュタグの役割を根本から見直すことを企業に迫るものです。
なぜ、ハッシュタグは広告から排除されたのか
この決定は、Xのオーナーであるイーロン・マスク氏の「美観」に関する個人的な見解に加え、広告効果の最適化という実利的な観点に基づいています。
従来のハッシュタグ付き広告では、ユーザーがハッシュタグをクリックすることで広告主のランディングページではなく、そのハッシュタグに関連する他の投稿ページへと遷移してしまうという課題がありました。
これにより、広告の最終的な目的である「コンバージョン(ウェブサイト訪問、商品購入など)」への導線が阻害される可能性があったのです。
今回の仕様変更は、広告のクリエイティブそのものにユーザーの注意を集中させ、コンバージョンへの動線をよりシンプルかつ直接的なものに再構築するという、X側の明確な意図を反映しています。
オーガニック投稿への影響とプラットフォームの進化
この変更は、広告(有料)投稿に限定されており、オーガニック投稿(無料)におけるハッシュタグの使用は引き続き可能です。
しかし、この動きはXが目指すプラットフォームの将来像を明確に示唆しています。
それは、「ハッシュタグ依存からの脱却」です。
Xのオーナーであるイーロン・マスク氏は、かねてからハッシュタグの存在に懐疑的な姿勢を示しており、プラットフォームの美観を損なうと考えています。
今回の広告での廃止は、この意向が具体的に反映されたものと言えるでしょう。
Xは、ハッシュタグ検索に頼るのではなく、AIを活用した高度なレコメンデーションシステム「For You」フィードを主軸に据えることで、ユーザーの興味関心に基づいたコンテンツを自動的に推奨する方向にシフトしています。
これにより、ハッシュタグの持つ「発見」や「拡散」の機能が、AIのアルゴリズムによって代替されていく可能性が示唆されます。
現場担当者がいますぐ取るべき3つの対応
この仕様変更に対して、現場の広告運用担当者は以下の具体的なアクションをいますぐ取る必要があります。
・既存のキャンペーンを総点検する
現在配信中の広告キャンペーンをすべて確認し、クリエイティブ内にハッシュタグが含まれていないか、ハッシュタグを広告のキャプションや画像、動画内に含んでいないかをチェックします。
含まれている場合は、速やかに広告の停止または差し替えを行いましょう。
・新しいクリエイティブの制作を開始する
ハッシュタグなしでユーザーの興味を引くための新しい広告クリエイティブを企画・制作します。
「ハッシュタグで検索」という導線に頼らず、より魅力的なコピーやビジュアルで、直接的にウェブサイトへの訪問などを促す内容に切り替える必要があります。
・Meta広告など他プラットフォームの戦略を見直す
Xの広告戦略が制限される分、Meta広告(Facebook/Instagram)やTikTokなど、他のプラットフォームでの広告予算配分やクリエイティブ戦略を見直します。
Xの広告効果の低下を他で補うための代替案を検討し、柔軟に対応できるように準備しておきましょう。
企業が取るべき新たなマーケティング戦略
今回の仕様変更は、Xにおけるマーケティング戦略を根本的に再考する契機となります。
以下の3つの戦略を実行することで、変化に対応したプロモーションを構築できるでしょう。
1. 代替となる広告フォーマットと戦略
ハッシュタグに頼れない今、コンバージョンを重視した以下の広告フォーマットに注力することが不可欠です。
・動画広告やカルーセル広告の活用
ユーザーの視覚に直接訴えかけ、製品の魅力やストーリーをより効果的に伝えることができます。
・ブランドテイクオーバー(旧プロモトレンド)への注力
高額ではあるものの、ユーザーの注目度が高いトレンド欄を、ハッシュタグではなく企業名やブランド名で獲得する戦略が有効になります。
・Xコミュニティ広告の可能性
共通の関心を持つコミュニティ内で、特定のトピックに興味を持つユーザーにターゲティングした広告を配信することで、高いエンゲージメントが期待できます。
2. 広告効果測定の新たな指標
「ハッシュタグ経由の拡散」という指標が使えなくなるため、広告の成功を測るKPIを再定義する必要があります。
・コンバージョンレート(CVR)の重要性
単なるクリック数やインプレッションだけでなく、広告からウェブサイトへの訪問、商品購入、資料請求といった具体的なコンバージョンに繋がったかを最重要指標とします。
・ウェブサイトへの直接流入数
広告クリック後のランディングページへの流入数を正確に追跡し、広告の直接的な効果を評価します。
・ブランドリフト調査
広告配信前後で、ブランド認知や好意度がどのように変化したかを測定し、中長期的なブランドへの影響を評価します。
3. 他のソーシャルメディアとの比較
今回のXの動きは、他の主要なSNSプラットフォームと異なる独自の方針です。
・Meta広告(Facebook/Instagram)
現在もハッシュタグの使用は可能であり、コンテンツの分類や発見に役立つツールとして機能しています。
ただし、広告効果を高めるためにはハッシュタグを最小限に抑えることが推奨される点はXと共通しています。
・TikTok広告
ハッシュタグがキャンペーンの核となる「ハッシュタグチャレンジ」など、ハッシュタグがプロモーションの中心的な役割を果たす代表的なプラットフォームです。
このように、Xの変更はプラットフォームごとの特性に基づいた独自の方針であり、すべてのSNSに共通するトレンドではない点に注意が必要です。
FAQ(よくある質問)
Q1. 広告のキャプションや画像にハッシュタグを含んでいても配信停止になりますか?
A. はい、配信停止の対象となります。Xからの通知によると、ハッシュタグがテキストだけでなく、画像や動画、GIFなどのクリエイティブ内に含まれている場合も配信が順次停止されます。視覚的にハッシュタグが確認できる広告は、すべて見直しが必要です。
Q2. 広告目的でなく、単なるコンテンツの分類としてハッシュタグを使用することもできませんか?
A. できません。今回の仕様変更は、広告の目的やハッシュタグの意図にかかわらず、広告内にハッシュタグが存在すること自体をNGとしています。コンテンツの分類やキャンペーン管理は、広告レポートの機能や、キャプション内のハッシュタグ以外のキーワードで行う必要があります。
Q3. オーガニック投稿でハッシュタグを使用すると、投稿のリーチが減るなどの影響はありますか?
A. 現在のところ、オーガニック投稿のリーチに直接的な影響はありません。今回の変更は広告配信に限定されています。ただし、XがAIによるレコメンデーションを強化しているため、将来的にはハッシュタグの重要性が相対的に低下していく可能性はあります。
Q4. 配信が停止された広告は、自動的にアーカイブされますか?
A. 配信停止後の挙動については、アカウントの広告設定や配信状況によって異なります。Xからの通知やダッシュボードで個別に確認が必要ですが、配信停止後は自動的にアーカイブされるか、ステータスが「停止済み」に変更される可能性が高いです。手動で広告を停止し、再設定することが最も確実な対応です。
Q5. 他のSNSプラットフォームも、今後同様の変更を行う可能性はありますか?
A. 現時点では、MetaやTikTokなど、他のプラットフォームで同様の発表はありません。特にTikTokでは、ハッシュタグが文化の一部となっているため、Xのような変更は考えにくいです。ただし、プラットフォームは常にユーザー体験や広告効果の最大化を目指しているため、今後の動向を注視する必要はあります。
まとめ
今回は、先日X広告でリリースされた広告でハッシュタグが利用できなくなる件について、ご紹介しました。
今回のXの仕様変更は、ハッシュタグに依存した拡散戦略からの脱却を促すものです。
今後、Xで成功するためには、より精緻なターゲティング、魅力的なクリエイティブ、そして具体的な成果に焦点を当てた広告運用が求められます。
これは、プラットフォームの進化とともに、マーケティングの力が「バズ」から「本質的な価値」へと回帰していく動きと言えるでしょう。
ハッシュタグに頼らない、質の高いコンテンツと戦略的な思考が、今後のXマーケティングの鍵となります。
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