LINEヤフー、「Yahoo!広告 ディスプレイ広告」の計測タグ提供範囲を拡大。LINE公式アカウントとの共通運用が可能に

2025/12/29

LINEヤフー株式会社から先日「Yahoo!広告 ディスプレイ広告」において提供している計測タグの提供範囲を拡大するというリリースがありました。

2026年1月21日(予定)より、認証済みビジネスマネージャーを通じて、「Yahoo!広告 ディスプレイ広告」と「LINE公式アカウント」の間で共通の計測タグが利用できるようになります。

今回のアップデートは、企業が保有するユーザーデータを横断的に蓄積・活用し、プラットフォームを跨いだマーケティング効率を向上させることを目的としています。

今回は、新たにアップデートされる「Yahoo!広告 ディスプレイ広告」と「LINE公式アカウント」の間で導入される共通の計測タグについて、ご紹介します。

 

アップデートの詳細:計測タグの管理がビジネスマネージャーへ集約

今回のアップデートでは、単なる管理画面の統合に留まらず、広告とSNS(LINE)の垣根を越えたデータ活用が可能になります。

主なポイントは以下の3点です。

1. ビジネスマネージャーによる「組織単位」のタグ管理
これまで、計測タグはディスプレイ広告の各アカウント単位で発行・管理されていました。

今後は「認証済みビジネスマネージャー」が管理主体となります。

  • アカウントを跨いだ一元運用: 同一企業内の複数の広告アカウントやサービス間で、タグを共通化して管理できるようになります。
  • 運用工数の削減: 組織レベルでタグを管理するため、権限付与や管理フローがシンプルになり、代理店変更時などの引き継ぎもスムーズになります。

2. LINE公式アカウントとの「計測データ共通化」
今回の最大のトピックは、「LINE公式アカウント」への計測タグ提供開始です。

これにより、これまで分断されていた「ウェブ広告」と「SNS」の行動データが一つに繋がります。

  • 友だち追加後の挙動を可視化: 広告経由で友だち追加したユーザーが、その後ウェブサイトでどのようなアクション(購入や資料請求など)に至ったかを、共通のタグでシームレスに計測できるようになります。
  • 横断的なリターゲティング: サイト訪問者のデータをLINE公式アカウントでのメッセージ配信に活かしたり、逆にLINE内でのアクションを広告配信のセグメントに活用したりといった、高度な施策が可能になります。

3. コンバージョンAPI(CAPI)対応の管理集約
プライバシー保護規制に伴い重要性が増している「コンバージョンAPI」についても、ビジネスマネージャー側でアクセストークンの発行などが管理されるようになります。

  • 精度の高い計測環境の維持: ブラウザ(タグ)とサーバー(API)の両面からの計測管理がビジネスマネージャーに集約されるため、より一貫性のあるデータ計測環境を構築しやすくなります。

 

共通計測タグを利用する3つの大きなメリット

計測タグが共通化されることで、企業は「ウェブ広告」と「LINE」を分断させない、一気通貫したマーケティング施策を展開できるようになります。

① ユーザーアクションの可視化と分析精度の向上
これまで、ディスプレイ広告経由でLINE公式アカウントに「友だち追加」したユーザーが、その後にウェブサイトで商品購入などの「コンバージョン」に至った際、その一連の動きを正確に紐付けることは困難でした。

共通タグを利用することで、友だち追加後のユーザーがサイト内でどのような行動をとったかをシームレスに計測できるようになり、施策ごとの真の貢献度を正しく評価できます。

② 蓄積データを相互活用したパーソナライズ
広告とLINE公式アカウントで蓄積されたデータを相互に活用することで、より精緻なアプローチが可能になります。

  • 広告データをLINEに: 特定のページを訪問したユーザーに対し、LINE公式アカウントから最適なタイミングでメッセージを自動配信する。
  • LINEデータを広告に: LINE内でのアンケート回答や特定アクションをトリガーとして、ディスプレイ広告でリターゲティング配信を行う。

③ タグ管理の簡素化とPDCAの加速

これまでは、ウェブサイト側で「ディスプレイ広告のコンバージョン」と「LINE公式アカウント経由のコンバージョン」をそれぞれ計測したい場合、Yahoo!広告用とLINE公式アカウント用の2つの異なるタグを発行し、別々にサイトへ埋め込む必要がありました。

これにより、Googleタグマネージャー(GTM)等での二重の設置工数や、それぞれの発火確認、さらには複数スクリプトの読み込みによるページ表示速度への影響といった負担が生じていました。

今回のアップデートにより、既に設置済みのディスプレイ広告のタグを1つ置いておくだけで、LINE公式アカウントの計測にもそのまま流用できるようになります。

新規施策を開始する際のタグ設置工数や、IT部門・制作会社との調整コストを大幅に削減でき、マーケティングのPDCAサイクルを早めることが可能です。

 

導入にあたっての留意点(想定されるデメリットと対策)

メリットの多いアップデートですが、スムーズな移行のために以下の点に留意する必要があります。

■管理権限の確認

今後はタグの発行や設定変更に「ビジネスマネージャーの管理者権限」が必要となります。

現場の担当者が権限を持っていない場合、承認フローにより設定変更に時間がかかる可能性があるため、事前の権限整理が推奨されます。

■計測の重複リスク

すでにLINEとYahoo!で個別にタグを設置して計測している場合、共通タグへ切り替える際に設定が重複すると、数値が二重にカウントされる恐れがあります。

移行時の計測設計は慎重に行う必要があります。

■ビジネスマネージャー未接続の制限

現在は未接続でも広告管理ツールから操作可能ですが、今後リリースされる新機能はビジネスマネージャー経由が前提となることが予想されます。

早めの導入・学習コストの確保が必要です。

 

運用への影響と注意点

ビジネスマネージャーに接続済みのディスプレイ広告アカウントでは、実施日以降、既存の計測タグが順次自動でビジネスマネージャーへと移管されます。

移管後は運用のルールが一部変更になるため注意が必要です。

  • 管理画面の変更: タグの新規発行、詳細マッチングの設定変更、コンバージョンAPI(CAPI)用のアクセストークン発行などは、ビジネスマネージャー側でのみ実施可能となります。
  • タグの貼り替えは不要: すでにウェブサイトへ設置済みのタグは、そのままLINE公式アカウントの計測にも利用可能です。改めてコードを貼り替える必要はありません。
  • 閲覧・確認は共通: 計測タグの表示やイベントの受信履歴などは、引き続きビジネスマネージャーと広告管理ツールの両方で確認できます。
  • 自動移管のタイミング: すでにビジネスマネージャーに接続済みで計測タグを発行している場合、本件の実施後1〜2営業日以内に自動で移管されます。

※ビジネスマネージャーに未接続の場合、広告管理ツールの機能に変更はありませんが、将来的な機能拡張を見据え早期の接続が推奨されています。

 

FAQ(よくある質問)

今回のアップデートは計測環境に関わる重要な変更である為、運用現場では多くの疑問が生じることが予想されます。

Q. 現在設置しているタグは、すぐに貼り替える必要がありますか?

A. いいえ、貼り替えの必要はありません。現在設置されているタグは実施日以降も有効であり、そのままLINE公式アカウントの計測にも流用可能です。

Q. 検索広告(Yahoo!広告 検索広告)のタグも対象ですか?

A. 今回のリリースは「ディスプレイ広告」の計測タグが対象です。ただし、今後他のビジネスソリューションへの拡大も順次予定されています。

Q. ビジネスマネージャーに接続しないと、計測が止まってしまいますか?

A. 計測が止まることはありません。未接続の場合は引き続き従来の広告管理ツールで運用可能ですが、LINE公式アカウントとの共通利用などの新機能は制限されます。

Q. LINE公式アカウントを持っていない場合でも、ビジネスマネージャーに接続すべきですか?

A. 現時点でLINE公式アカウントを利用していない場合でも、今後リリースされるYahoo!広告の新機能や管理機能の集約に対応するため、早期の接続をおすすめします。

 

まとめ

今回は、「Yahoo!広告 ディスプレイ広告」と「LINE公式アカウント」の間で導入される共通の計測タグについて、ご紹介しました。

今回のアップデートは、LINEヤフーが掲げる「データの統合」を象徴する重要な施策です。

LINEとYahoo! JAPANという二大プラットフォームのデータを「ビジネスマネージャー」を起点に統合・活用していく環境が整うことで、広告主はより高度なマーケティングを展開できるようになります。

昨今のCookie規制強化に伴い、自社で取得したデータ(ファーストパーティデータ)をいかに横断的に活用できるかが、広告成果を左右する重要な鍵となります。

今回の変更を機に、「ウェブ広告」と「LINE」を分断させず、一気通貫したコミュニケーション設計を見直すことが、中長期的な競争力の源泉となるでしょう。

実施予定日の2026年1月21日に向けて、ビジネスマネージャーのステータス確認や社内権限の整理など、スムーズな移行に向けた準備を早期に進めていくことをおすすめします。

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